近鉄百貨店のあべのハルカス本店、8カ月連続増収 ― チェーン全体は減収続く
近鉄百貨店のあべのハルカス近鉄本店は10月、2つの売場改装を追い風に全部門で8カ月連続の増収となった。一方で全社売上高は減収となり、近畿の郊外店舗の一部は依然として苦戦が続く。

株式会社近鉄百貨店は、11月2日付の「2026年10月 近鉄百貨店 売上速報」で、日本一高いビル・あべのハルカスの低層階に入る「あべのハルカス近鉄本店」の10月売上高が、全部門で前年実績を上回り、8カ月連続の増収となったと発表した。一方、全社売上高は前年同月比2.6%減となった。
あべのハルカス近鉄本店の売上高は前年同月比9.6%増(専門店の取扱高を含むベースでは10.8%増)だった。同社は要因として、10月上旬に改装オープンしたこども服売場が「想定を大きく上回る好調なスタート」を切ったこと、下旬に改装した菓子売場も好調に推移したことを挙げている。集客面では、地方創生プロジェクト「ハルカス・ニッポン博覧会」の「宮城編」「新潟編」の開催や、日本・ベルギー友好160周年を記念した「ベルギーフェア」、9階催会場で開いた大阪・関西万博閉幕1周年記念イベントなどが寄与したという。婦人服では、下旬の気温低下に伴いセーターやアウター類が人気を集めたとしている。
チェーン全体の数字は様相が異なる。全社売上高は前年同月比2.6%減(2026年2月28日に営業を終了した名古屋店の前年実績を控除した既存店ベースでは0.8%減)だった。店舗別では、上本町店が9.2%増となったほか、生駒店、和歌山店、草津店、四日市店の4店も1.2〜4.0%の範囲で増収となった一方、東大阪店は2.6%減、奈良店は4.8%減、橿原店は0.9%減となった。
経済産業省の商業動態統計によると、直近で公表されている9月の全国百貨店売上高は前年同月比3.4%増だった一方、大阪・京都・兵庫・奈良・滋賀・和歌山・福井を含む近畿地方では、直近公表の8月時点で伸び率はわずか0.4%にとどまっている。この「全国は堅調、近畿は低調」というギャップは、近鉄百貨店内の明暗とも整合的だ。東大阪店や奈良店の落ち込みは伸びの鈍い近畿市場の動向に近く、一方であべのハルカス近鉄本店の9.6%増は全国平均をも大きく上回る水準で、地域全体の底上げというより同店独自の改装・催事の効果とみるのが妥当だろう。
今回の速報からは、日本一高いビルに入る旗艦店が改装効果で8カ月連続の増収を重ねる一方、郊外店舗網では増収より減収の店が目立つという、二つの異なる潮流が浮かび上がる。今回のフェアや記念イベントが一巡した後も菓子・こども服売場の改装効果が続くかどうかの方が、10月単月の数字そのものより注目に値するだろう。
前年同月比(%)