floortok

Journal

·
ニュース

LVMHがマーク ジェイコブス売却を完了、WHPグローバルとG-IIIへ

WHPグローバルとG-IIIアパレル・グループは、LVMHからのマーク ジェイコブス買収を完了した。ブランドの知的財産と店舗運営を分離する新たな合弁の枠組みによるもので、伊勢丹新宿店に新たな常設店をオープンした同じ週の動きとなった。

夕暮れのソーホー風ブティックのショーウィンドウをのぞむシルエットの人物を描いたイラスト
イラスト:floortok.com

WHPグローバルとG-IIIアパレル・グループは9月1日、LVMHからのマーク ジェイコブス買収を完了したと発表した。GlobeNewswireを通じて配信された両社の共同声明による。今回の取引では、マーク ジェイコブスの知的財産を保有する新設の合弁会社をWHPとG-IIIがそれぞれ50%ずつ出資して保有する一方、ブランドの事業運営――卸売、直営店、ECを含み、店舗数は米国・欧州を中心に100店を超える――はG-IIIが別途取得し、新合弁会社との間で長期のライセンス契約を結ぶ。

創業者のマーク ジェイコブス氏は引き続きクリエイティブディレクターを務め、ランウェイコレクションやショーを統括すると両社は説明した。発表資料では金額は明らかにされていないが、他媒体では約9億2500万ドルと報じられている(両社の声明では確認されていない)。LVMHは1990年代、当時まだ若いニューヨークのレーベルだったマーク ジェイコブスに出資し、以来同社の傘下にある米国ファッションハウスの中でも特に長い付き合いのブランドへと育ててきた。今回の売却は、その関係に終止符を打つものとなる。

WHPグローバルの創業者兼会長兼最高経営責任者(CEO)を務めるイェフダ・シュミッドマン氏は「マーク ジェイコブスはファッション界を象徴する名であり、強い文化的存在感とグローバルな成長余地を持つ」と述べた。

知的財産を一つの器に、店舗・商品運営を別の器に分ける今回のスキームは、ライセンスビジネスではよく見られる手法だ。ブランドマネジメントを専業とする企業が安定したロイヤルティ収入を得る一方、運営パートナーが店舗と商品を現場で回す仕組みで、コングロマリット傘下で成長が頭打ちになったメゾンに採用されるケースが増えている。LVMHは近年、主力メゾンへの集中を保ちつつ周辺ブランドの整理を進めてきた。確固たる認知度を持ちながらもディオールやルイ・ヴィトンのような規模には至らなかったマーク ジェイコブスは、コングロマリットの中核というより、専業オーナーの下でこそ力を発揮しやすいブランドだったとも言える。

今回のクロージングは、マーク ジェイコブスが伊勢丹新宿店2階に新たな常設店をオープンしたのと同じ週の出来事だ。店舗ではあわせて「メモリー・ロス」をテーマにした「RUNWAY 2026 COLLECTION」のポップアップ(9月2日~8日)も展開しており、伊勢丹新宿店の発表によれば、同コレクションを扱う店舗は世界でわずか2カ所のみだという。こうした出店投資はLVMH傘下の時代に決定されたとみられ、そのペースが今後も続くかどうかは、LVMHではなく、G-IIIの事業運営部門と新合弁会社とのライセンス契約に委ねられることになる。