松屋銀座、ポップカルチャー美術館を核とする新館を開業 コンテンツ事業に活路
松屋銀座が9月5日、新館「松屋銀座 並木通り館」を開業する。2・3階には年間約10本の企画展を行う小規模ミュージアム「ギンザミライミュージアム」が先行オープンし、10月9日には1階にアニエスベーが開店。同社はコンテンツ事業の売上高を2029年度に70億円へ引き上げる目標を掲げている。

松屋(松屋銀座)は2026年7月付のリリースで、アニメ・マンガ・ゲームをテーマとする小規模な美術館を核とする新館「松屋銀座 並木通り館」を9月5日に開業すると発表した。
同リリースによると、新館は銀座並木通りにある別棟の1階から3階部分にあたる。愛称「ギンミラ」こと「ギンザミライミュージアム」が先行してオープンし、2階は約316平方メートルの展覧会場、3階は約117平方メートルの物販会場に加え、約188平方メートルのコラボカフェを併設する。コラボカフェの運営は、コラボカフェ業界最大手とされる株式会社エルティーアールと組む。1階には10月9日にアニエスベーが開店する。展覧会はすでに3本が決まっており、「アニメ天官賜福展 -天地流光-」(9月5日〜29日)、「NO.6の世界展」(10月2日〜26日)、「ギルティクラウン×甲鉄城のカバネリ展」(10月30日〜11月23日)が予定されている。松屋は年間約10本程度の展覧会を計画しており、銀座本店8階の催事場で行う大規模展よりコンパクトな規模だとしている。
松屋は2018年に、それまで文化催事の企画・運営を担っていた部署を事業部化し、コンテンツ事業を継続してきた。2016年から銀座発の展覧会をパッケージ化して全国に巡回させる手法を続けており、2025年度には年間80本の巡回展を実施したという。同社が示したコンテンツ事業の総額売上高は、2023年度が50億円、2024年度が56億円、2025年度が62億円で、2029年度には70億円を目指すとしている。今回のミュージアム開業もその成長の柱の一つに位置づけている。
老舗百貨店にとって、これは物販ではなくコンテンツを成長の軸に据える賭けだ。銀座の新館内に専用のミュージアムを構えることは、8階の催事場を回転させるより不動産・人件費のコストがかかるが、本館の催事カレンダーに縛られず年間を通じて展覧会を打てる固定の会場を持てることになる。アニメやゲーム関連グッズに実際に支出しているZ世代や訪日客を狙って設計された施設でもある。日本の百貨店業界全体が、縮小し高齢化するコア顧客層をインバウンドやギフト需要で補ってきた構図が続くなか、松屋にとっては物販に依存しない成長軸を確保する動きとなる。
十億円