心斎橋PARCO、約2,000坪の改装を217㎡で締めくくる
パルコは、心斎橋PARCOで2月から進めてきた約50区画・約2,000坪の大規模改装を、約217㎡・3店舗の第5弾で締めくくる。面積では5回で最小、だが顔ぶれは最も濃い。区画を埋める作業は8月に終わっており、最後に残しておいたのは話題性だった。

パルコは9月17日付のリリースで、心斎橋PARCOが2026年2月から続けてきた大規模リニューアルを、10月2日の2店舗開業で締めくくると発表した。第5弾にあたる最終段階は3店舗・約217㎡。同社が「約50区画・約2,000坪」(およそ6600㎡)とする改装全体に対し、面積では3%程度にすぎない。ただし顔ぶれは濃く、グラフィックアーティストVERDY初の常設店、セガの関西エリア初となる旗艦店、STUDIO NICHOLSONの大阪初出店が並ぶ。
3店舗のうち1店はすでに営業を始めている。B1Fの「Verdy's Postal Service」は9月18日オープン。パルコはこれをVERDYとの共同プロジェクトによる新業態であり、同アーティスト初のレギュラーショップだと説明する。テーマは手紙で、ポストカードやグリーティングカード、オリジナルTシャツ、トートバッグを扱うほか、VERDYがデザインしたポストを店頭に置き、その場で手紙を書いて投函できるスペースも設けた。スタッフのユニフォームはファッションブランドdoubletとのコラボレーションで、同ブランドとの限定アイテムも店頭に並ぶ。オープン当日と翌日には、抽選による本人のサイン会も行われた。
6Fの「SEGA STORE OSAKA」は10月2日オープン。同フロアはパルコが「POP CULTURE SHINSAIBASHI」を掲げる売場で、同社はこの店をセガの関西エリア初の旗艦店と位置づける。可変性のある照明設備と大型の透過型両面LEDを導入し、大阪ならではの限定商品に加えて人気IPのグッズを幅広く揃えるという。狙いは大阪の客だけでなく、国内外のファンだとしている。開店企画は購入金額に応じたノベルティで、税込3300円以上でステッカー、5500円以上でショッパー。館全体では税込1万円以上を購入した先着1500人にソニックのエコバッグを配る。9月25日には、セリフが全編英語のよしもと新喜劇「YOSHIMOTO COMEDY NIGHT ~Sitcom~」(よしもと道頓堀シアター、有料)にソニックが登場する。
2Fの「STUDIO NICHOLSON OSAKA」も10月2日開業で、大阪初出店となる。英国発の同ブランドはすでに京都に店を構えており、パルコは心斎橋を関西エリアの新たな拠点と表現する。内装は、創設者兼クリエイティブディレクターのNick Wakeman氏が上海店で打ち出した「gallery-meets-residential」の考え方を軸に据えたもので、京都店でも採用した国産の多治見タイルを店奥のレジデンシャルエリアの床とデスク周りに敷き、トラバーチン、シルバートーンのステンレス、チェリーウッドと組み合わせたと説明している。
5回の改装が残したもの
5本のリリースを並べて読むと、改装の形が見えてくる。パルコ自身の店舗一覧に名前が載るのは計37店。うち13店が2Fに集中する。Ground Y、TOGA、GANNI、Ami Paris、MM6 Maison Margiela、STONE ISLAND、HOMME PLISSÉ ISSEY MIYAKE、Goldwin、kolor、TOM WOOD、Onitsuka Tiger、AMBUSHのワークショップ、そしてSTUDIO NICHOLSONである。一方で上層階はキャラクター・IPグッズに寄せた。4月のYEN TOWN MARKETとRofJ BY JUMP SHOP、8月のディズニーストア、そして10月のセガ。最終弾はこの両端に1店ずつを置いた格好で、心斎橋PARCOが自らをどう定義したかがそこに出ている。
数字はもう一度見ておく価値がある。パルコが挙げる区画数は約50、一覧に載る店舗名は37。差分は、新しい看板が出ないまま統合・改修された区画だろうというのが当方の見方で、通常リリースにはならない部分である。
引いたレバーはPlace(売場と立地)だが、最終弾はPromotionである。区画を埋める作業は4月から8月にかけて終わっていた。地下2階から5階までの7フロアに34店。しかも館は営業を続けたまま進み、4月から9月まで毎月どこかで新店が開いている。これは日本の売場では、リリースが書いている以上に重い差だ。全館を1年閉めて丸ごと作り直せば、売上だけでなく来店習慣も1年分失う。回遊客そのものが資産である心斎橋で、パルコは時間のかかる方を選んだ。そして最後まで取っておいたのが話題性である。アーティスト初の常設店、ゲーム会社の関西初旗艦店、ロンドン発ブランドの大阪初出店は、区画の移設よりはるかに見出しになる。
この9カ月、心斎橋PARCOには毎月「もう一度行く理由」があった。10月2日を過ぎると、その予定はなくなる。2Fがデザイナーズの客を、6Fがキャラクター・IPの客をつなぎ止められるか。改装が残した問いはそれだけで、しかも次の新店という援軍なしに答えが出る。