H2Oリテイリング、純利益2.15倍に ― ただし主因は有価証券売却益、店頭の実力ではない
H2Oリテイリングの中間期(2026年4〜9月)純利益は前年同期比2.15倍となったが、その大半は有価証券売却益という一時的な要因によるもので、大阪の阪急うめだ本店・阪神梅田本店の商売そのものが急伸したわけではない。

大阪の阪急うめだ本店・阪神梅田本店を運営する株式会社阪急阪神百貨店の親会社であるエイチ・ツー・オー リテイリング株式会社(H2Oリテイリング)は、11月4日発表の2027年3月期中間決算(2026年4〜9月)で、親会社株主に帰属する当期純利益が前年同期比115.5%増の148億90百万円と倍増したと発表した。売上高はほぼ横ばいだった。
売上高は0.1%増の3,333億38百万円にとどまった一方、営業利益は15.8%増の137億25百万円、経常利益は19.3%増の148億12百万円となり、いずれも横ばいの売上高は上回ったものの、倍増にはほど遠い伸びだった。これらの伸び率と純利益の倍増との差を生んだのは一つの要因――前年同期にはなかった投資有価証券売却益52億円(連結ベース)の計上で、特別利益の合計は前年の10億36百万円から56億94百万円に膨らんだ。この一時的な利益を除けば、今期は「好調」ではあっても「劇的」とまでは言えない。1株当たり利益は57.70円から131.29円に上昇し、株主にとって歓迎すべき数字ではあるが、その増加の大半を支えたのは資産売却という一過性の要因であり、継続的な稼ぐ力の向上そのものではない。
下段の指標を見ても、手放しで喜べる内容ではない。保有有価証券の含み損益の変動なども反映する包括利益は29.6%減の127億75百万円となった。その他有価証券評価差額金が前年の140億70百万円の増加から一転、60億80百万円の減少となったためだ。つまり、同社が売却益を得た有価証券群そのものが、同じ半期中に評価額を落としていたことになる。
事業面では、この半期に食品スーパー事業の再編も進んだ。同社によると、2026年4月1日付で連結子会社の関西スーパーマーケット株式会社を、同じく連結子会社のイズミヤ・阪急オアシス株式会社に吸収合併させ、存続会社は「関西フードマーケット株式会社」に商号変更した。これに伴い、従来「関西フードマーケット株式会社」を名乗っていた別の子会社は、同日付で「十三フードマーケット株式会社」に改称したという。今回の開示資料では、セグメント別の業績は示されていない。
2027年3月期通期の業績予想は、売上高6,950億円(前年比2.2%増)、営業利益335億円(同3.4%増)、経常利益340億円(同1.5%減)、純利益235億円(同21.5%減)とした。純利益が減益見通しとなっているのは本業の縮小を見込んでいるためではなく、今期計上した一時的な売却益が来期以降は続かないためだ。同社は決算発表にあわせて連結業績予想を修正したことも明らかにし、年間配当予想は前期実績の46円から48円に引き上げた。
この数字が示されたのは、市場全体も拡大していたタイミングだ。経済産業省の商業動態統計によると、H2Oの中間期の最終月にあたる9月の全国百貨店売上高は前年同月比3.4%増だった。阪急うめだ本店や阪神梅田本店が属する業界自体は好調に推移していた一方で、スーパー事業の再編も抱えるH2Oグループ全体の売上高は横ばいにとどまった。総務省によると、直近で公表されている8月の全国消費者物価は前年同月比1.9%上昇しており、これと比べると、わずか0.1%増の売上高は、純利益の押し上げ要因を除いて考えても、実質ベースではほぼ横ばいか、むしろ前年をやや下回っている可能性がある。
「純利益が倍増」という見出しは事実だが、その原動力は阪急うめだや阪神梅田本店での商売そのものではなく、有価証券の売却益である。むしろ注目すべきは、横ばいの売上高の下で営業利益が15.8%伸びたという、より地に足の着いた数字だろう。この一時的な利益が剥落した後も営業利益の伸びを維持できるか、そして再編したばかりの関西フードマーケットが軌道に乗るかどうかが、通期の成否を左右する。
前年同期比(%)