帝国ホテル、京都開業とタワー館再開のコストで中間期利益が急減
帝国ホテルの中間決算は、新規開業した帝国ホテル京都の好調な出足と東京本店タワー館の営業再開により増収となったが、両施設にかかる費用が重く営業利益は約6割減少。タワー館では新たな商業テナントの入居も進む。

帝国ホテルは10月29日、東京証券取引所に提出した決算短信で、2026年4月から9月までの中間期の連結売上高が前年同期比10.2%増の280億円になったと発表した。一方で営業利益は59.5%減の1億円強、親会社株主に帰属する中間純利益は59.3%減の2億円にとどまった。同社は、物価上昇に加え、新規開業した帝国ホテル京都の初期費用やタワー館の営業再開に向けた投資が増収分を上回ったことを理由に挙げている。
30年ぶりの新規ホテルとなる帝国ホテル京都は今年開業し、同社によれば多くの来客を集め高い評価を得て「順調なスタート」を切った。東京の本店では、大規模改修で休館していたタワー館が営業を再開し、オフィステナントや商業施設の再誘致が進んでいる。地下にあった旧レストラン街や、1階から4階の「帝国ホテルプラザ東京」跡地には新たなテナントの入居が決まった。また、帝国ホテル大阪の開業30周年やホテルショップ「ガルガンチュワ」の開店55周年を記念した企画も展開し、高付加価値商品の販売に力を入れた。
セグメント別では、ホテル事業の売上高が8.9%増の275億円、営業利益は16.9%増の18億円と、むしろ伸びている。タワー館の改修費や再誘致コストがかかった不動産賃貸事業は、売上高が新規賃貸の増加でほぼ3倍の5億円となった一方、営業損益は3億円の損失に転落した。再開した賃貸フロアは、収益を生む前にまずコストがかかるということだ。経営目標の指標とするEBITDAは23.9%増の18億円となり、今回の減益の多くが減価償却費や開業に伴う一時的な費用によるものであることを示している。
ホテル市場全体と比べて読む
帝国ホテルの10.2%という増収率は、国内ホテル市場全体の動きを上回っている。観光庁の調査によると、8月のシティホテルの客室稼働率は前年同月比3ポイント低下の72.3%、外国人延べ宿泊者数は10.3%減少した。つまり今回の増収は、業界全体の上げ潮というより、新規開業・再開業・高付加価値路線といった帝国ホテル固有の要因によるところが大きいとみられる。floortokの決算データルームで比較可能な21社のホスピタリティ企業(それぞれ異なる決算期)の増収率の中央値は6.5%で、帝国ホテルはこれを上回る。一方、利益面は対照的だ。同社自身が挙げる「物価等の上昇」という要因は、総務省の統計で9月の消費者物価が前年同月比2.1%上昇していることと整合的であり、京都とタワー館にかかる直接的なコストに加えて、この物価上昇という外部要因も利益をほぼ消し去る一因となっている。
帝国ホテルは2026年5月14日に発表した通期業績予想を据え置いた。配当予想も変更はないが、前期の記念配当を含む合計7円から、今期は6円へと減る見通しだ。同社が次に見据えるのは隣接地だ。本店に隣接する中地区で建設中のNTT日比谷タワー(2031年竣工予定)では、高層階に新ブランドのスモールラグジュアリーホテル、低層階に最新の映像音響設備を備えた宴会場を運営する計画で、タワー館に続き、本店に隣接する土地を収益を生む床面積に変えようとする二度目の試みとなる。