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プラダ グループ、1〜9月期の日本小売売上高はユーロ換算で6%減 — 実質為替ベースでは5%増

プラダ グループの2026年1〜9月期決算で、日本の小売売上高はユーロ換算で6%減の4億2400万ユーロとなったが、実質為替ベースでは5%増、オーガニックベースでも2%増だった。floortok独自の為替データ分析によれば、この差はほぼ円安によるもので需要の後退を意味しない。

ガラス屋根の高い吹き抜けを長いエスカレーターが貫き、光の筋の中をシルエットの買い物客が上っていくイラスト
イラスト:floortok.com

プラダ グループは10月22日、2026年9月30日までの1〜9月期の純売上高が、公表為替ベースで前年同期比12%増(実質為替ベースでは15%増、オーガニックベースでは4%増)の45億4100万ユーロになったと発表した。自社直営店の売上高を示すリテール部門は、公表ベースで8%増(実質為替ベース11%増、オーガニックベース2%増)の39億3400万ユーロだった。オーガニックベースは、2027年のクリエイティブ刷新を控え新たに連結したヴェルサーチェ(期間中の純売上高4億4100万ユーロ)を除いた数値。

通期の数値のうち、符号そのものが為替によって反転したのが日本だ。同地域のリテール売上高はユーロ換算で前年同期の4億5000万ユーロから4億2400万ユーロへ6%減少し、表中で唯一「減収」として公表ベースに表れる地域となった。しかし実質為替ベースでは5%増、オーガニックベースでも2%増と、発表全体で用いられている同じ基準で見れば増収だった。プラダは実需について「底堅い現地需要」によるものとし、第3四半期は比較基準の高さを反映して「前期比で落ち着いた動き」だったと説明している。なお比較対象の前年同期の数値は、2025年12月にハワイの区分を日本地域から米大陸地域に変更した後の、組み替え済みの数値である。

この為替要因は推測ではない。floortokがMarket Dataルームで保有する米連邦準備制度(FRB、FREDデータ)の相場をもとに独自に算出すると、2026年1〜9月の平均ユーロ円相場は1ユーロ=184.03円で、前年同期の165.56円から円が対ユーロで平均約11%下落した(floortok算出)。これは、プラダの日本売上高における公表ベース(-6%)と実質為替ベース(+5%)の差、すなわち11ポイントの開きとほぼ一致する。同様の構図は今期の決算シーズンを通じて見られ、エルメスやLVMHもそれぞれ日本を好調市場の一つと位置付けながら、円安がユーロ換算の見出し数値を押し下げたと発表している。プラダの日本売上高の数字も、まずは為替の物語であり、需要の物語はその次だと言える。

他地域では、米大陸がグループ内で最も好調を維持し、実質為替ベースで33%増(オーガニックベース13%増)となり、プラダは「旺盛な国内需要」を要因に挙げた。一方、中東は依然最も弱く、公表ベース・実質為替ベースともに23%減だった。ブランド別では、プラダ本体のリテール売上高が1〜9月期に2%増(第3四半期は1%増)となり、米大陸とアジア太平洋地域の伸びに加え、欧州・日本についても「おおむね安定した動向」が寄与したという。ミュウミュウは前年同期の41%増という高い比較基準を背景に1%増まで減速し、最高経営責任者(CEO)のアンドレア・ゲッラ氏は「堅実な実績」としつつ、第3四半期の減速は中東の不振が要因だとした。2025年12月に連結したヴェルサーチェは、2027年の新クリエイティブディレクター体制の始動に向けた準備を進めながら、期間中に純売上高4億4100万ユーロを計上した。

ユーロ建ての見出し数値だけを見れば、日本は他地域が増収となる中で縮小した「例外」に映る。しかし、プラダが決算発表全体で用いている実質為替ベースで読み直せば、日本はアジア太平洋や米大陸と並んでプラス圏にあり、逆にオーガニックベースで前年より弱いと同社が位置付けるのは欧州だけだ。この違いは、日本でプラダの価格戦略や賃貸契約、商品展開を見極めようとする関係者にとって重要だ。今四半期のユーロ建て数値は、店頭の実態を示す指標ではなく、為替が生み出した見かけ上の数字にすぎない。

プラダ 2026年1〜9月期:日本以外は公表ベースと実質為替ベースの差が小さい

前年同期比(%)

−25%0%40%アジア太平洋欧州米大陸日本中東+10.0%+4.0%+29.0%−6.0%−25.0%+12.0%+5.0%+33.0%+5.0%−23.0%実質為替ベース公表ベース
プラダ グループ 2026年1〜9月期発表 · 作図:floortok