東武鉄道、池袋の百貨店は増収増益も東京スカイツリー入場者16%減
東武鉄道の上期純利益は政策保有株式の売却益で32%増えたが、注目すべきはその一段下だ。池袋の百貨店は増収増益を維持した一方、東京スカイツリー展望台の入場者数は16%減ったものの、入場料収入はほぼ横ばいを保った。

東武鉄道(とうぶてつどう)は11月5日、2027年3月期第2四半期(中間期、2026年4〜9月)の連結決算を発表し、親会社株主に帰属する中間純利益が前年同期比32.3%増の317億7,800万円になったと明らかにした。営業収益は2.3%増の3,177億7,700万円、営業利益は1.5%増の361億3,300万円だった。同社は池袋の東武百貨店と東京スカイツリーを運営する東京近郊の鉄道・不動産グループ。
純利益の増加の大半は一時的な要因による。政策保有株式の縮減を進める中で投資有価証券の売却益103億円を含む特別利益136億円を計上した。前年同期はわずか5億円だった。特別損益の影響を除いた経常利益はむしろ1.0%減の334億円にとどまっており、本業の基調はより平坦だ。
池袋は増収増益、ただし伸びは鈍化
有機的な成長が表れているのは流通事業(百貨店とスーパー)だ。セグメント営業収益は866億3,000万円から875億6,000万円に増え、営業利益は約3割増の39億4,000万円になった。百貨店単体の営業収益は9億7,500万円増の318億1,000万円、営業利益は24億9,000万円から31億3,000万円に増えた。約25.7%の増加だが、これはfloortokの試算であり、決算資料は百貨店単体の増減率を開示していない。
店舗別では、グループの旗艦店であり東京の百貨店業の動向を占う指標とされる池袋店の既存店売上高が前年同期比4.1%増となったが、前年同期の10.6%増からは大きく鈍化した。船橋店は1.2%増(前年同期は0.7%増)、宇都宮店は0.1%減となり、前年同期の0.3%増から減少に転じた。
前年同期比(%)
来場者は減っても、スカイツリーは単価で稼ぐ
東京スカイツリー展望台は対照的な動きを見せた。入場者数は239万人から201万人へ16%減ったが、営業収益は8億8,500万円と微増し、営業利益は1億300万円減の37億4,700万円にとどまった。これは同社が進めてきた変動制のタイムチケット価格戦略と整合的だ。行列が薄くなった分、来場者1人あたりの単価を引き上げる仕組みで、百貨店が集客目的の販促を抑えて利益率の高いテナント構成に寄せるのと似た論理といえる。タワー下層の商業・住宅複合施設「スカイツリータウン」では、来場者数が0.6%減の1,799万人にとどまる一方、営業収益は69億8,700万円に増えた。
ホテル事業でも来訪者側で同様の傾向がみられる。銀座の2ホテルの外国人比率は87.1%、84.3%に上昇した一方、錦糸町(80.3%)と成田(66.0%)は低下した。銀座の2ホテルは外国人比率が上がったにもかかわらず稼働率はいずれも低下しており、ここでも客数より単価が働いている可能性がある。なお、決算資料には百貨店の免税売上やインバウンド売上高の開示はない。
全国の数字と比べると、基準は異なるものの池袋の伸びは突出していたわけではない。経済産業省の商業動態統計によると、2026年9月単月の全国百貨店売上高(前年同月比)は3.4%増で、池袋の上期(6カ月累計)の既存店4.1%増とおおむね近い水準にとどまる。総務省が公表した直近の消費者物価指数(2026年8月、総合で前年比1.9%増)も踏まえると、この伸びの一部は数量増だけでなく物価上昇も反映しているとみられるが、東武の開示には百貨店の数量・価格の内訳はなく、その割合は確認できない。
つまり東武の決算で振れ幅が大きいのは、むしろ売場の外にある。毎期繰り返せない株式売却益が純利益を押し上げる一方、小売に隣接する2つの事業は逆方向に動いている。緩やかながら成長を続ける百貨店と、来場者は減っても単価で稼ぐ観光施設だ。