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視点

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Bリーグ×経営

どのクラブにも同じ8億円。使い切れるクラブは一部だけ

Bリーグのサラリーキャップは、Bプレミアの全クラブに同じ選手人件費の上限を課す。その上限まで実際に届くかどうかを決めるのは、スポンサー、チケットを買う人、そしてファンだ。強いチームは、今や強い経営から始まる。

イラスト:試合日のバスケットボールアリーナの断面図。コートの選手と客席のファン、その上のガラス張りの部屋で会議をするフロントスタッフとホスピタリティラウンジ、そして通りから歩いてくる人々。
イラスト:floortok.com

先日、ブランドづくりと、それが日本のプロバスケットボールリーグであるBリーグにとってどれほど重要かをテーマに、3回の連載を書いた。本稿では、その連載で何度も立ち返った問い、つまり優れた経営と強いチームはどうつながっているのか、を取り上げたい。連載では、新しいルールによってブランドはマーケティングから存続のための免許へと変わったこと、どのクラブも気づかないうちに引き出しすぎてしまうブランドの「口座」を持っていること、そして若いリーグにはヘリテージ戦略が必要なことを論じた。今日リーグが発表したニュースは、経営とバスケットボールが今や同じ仕事になったことを示している。そうさせたのが、サラリーキャップである。

2026年10月20日、Bリーグのライセンス判定理事会は、2028-29シーズンのB.LEAGUE PREMIER(Bプレミア)に参入する25クラブを決めた。26クラブ目となる大阪エヴェッサの判定は、10月28日の臨時理事会での継続審議となった。どの判定も、勝ち負けでは決まっていない。決め手は、リーグが各クラブ名の横に記した数字、つまり昨シーズンの平均入場者数、昨年度の売上高、そしてホームアリーナである。Bプレミアに残るには、「1試合平均4,000人・売上9億円」か「平均3,000人・売上12億円」のどちらかを満たす必要がある。

リリースの中のある一行は、どんな順位表よりも新しいリーグの姿を物語っている。富山グラウジーズは、制裁金1,500万円を科されたうえで、Bプレミアのライセンス継続保有を認められた。売上は12.8億円と基準を十分に上回ったが、平均入場者数は2,501人で、その基準でも必要な3,000人に届かなかった。1,500万円は、800万円と定められたBプレミアの最低年俸のほぼ2人分にあたる。制裁金として払うお金は、選手には決して届かない。

同じ上限、まったく違う届き方

今シーズンから、Bプレミアのクラブがロスター全体に使える金額は、上限8億円、下限5億円と決められた。対象は全選手で、計上されるのは年俸だけではない。住居、自動車、航空券、固定のインセンティブもすべて含まれる。上限を超えてよいのは、インジュアリーリストの運用やシーズン途中の契約解除といった想定外の場合だけで、それも超過額の50%か100%をリーグに納めることが条件となる。唯一の例外はスター選手条項で、クラブ内最高額かつ1.5億円以上の選手1人は、1.5億円として計上される。金額の改訂は、2026年12月のリーグ理事会で検討される。

紙の上では、これで全クラブが同じ条件に立つ。だが実際には、上限が公平なのは、誰もがそこに届く場合だけだ。今日のリリースは、クラブ間の差がどれほど大きいかを示している。

クラブ平均入場者数(2025-26シーズン)売上高(2025年度)上限8億円が売上高に占める割合
アルバルク東京8,593人92.3億円8.7%
千葉ジェッツ10,093人59.0億円13.6%
宇都宮ブレックス4,754人40.3億円19.9%
琉球ゴールデンキングス8,322人38.6億円20.7%
佐賀バルーナーズ5,753人19.5億円41.0%
信州ブレイブウォリアーズ3,695人14.7億円54.4%
茨城ロボッツ3,307人14.3億円55.9%
富山グラウジーズ2,501人12.8億円62.5%

アルバルク東京の売上は、富山のおよそ7倍だ。それでも、両クラブの上限は同じ8億円である。参入が決まった25クラブのうち9クラブは売上が20億円に満たない。上限いっぱいのロスターを組めば、収入全体の4割以上が選手人件費に消えることになる。

それがなぜ重要かは、リーグ自身の平均値が示している。10月13日に公表されたクラブ決算概要によると、昨シーズンのB1クラブの平均は、売上高26.7億円、トップチーム人件費9.99億円、それ以外の費用16.3億円、営業利益はわずか4,300万円だった。売上13億円のクラブが選手に8億円を使えば、アリーナ、スタッフ、遠征、試合演出、マーケティングに回せるのは約5億円しか残らない。それは事業計画ではない。来シーズンの成績に賭けているだけだ。

つまり、サラリーキャップは全クラブ共通の上限だが、そこに届くのは特権であり、その特権を買うのは売上である。毎年8億円を使い切りながら、会社そのものを賭けずに済ませたいなら、スポンサー、チケット、その他すべての収入がそれを支えられるほど強くなければならない。その意味で、今や営業チームも、GMと同じくらい確かに選手を獲得している。

勝利は今も大切だ。ただし経営の要素として

昨シーズンまで、クラブの命運はコートの上で決まっていた。十分に勝てば昇格し、負けが込めば降格する。経営も大事だったが、それは主に次の昇格争いの資金をまかなうためだった。

勝利は今も大切だ。勝つチームは席を埋め、スポンサーを満足させ、テレビにも映る。だがBプレミアの時代には、勝利の意味は主に、それが経営に何をもたらすかにある。ライセンス判定理事会は順位表を読まない。読むのは入場者数と売上だ。そしてクラブが獲得したい選手や代理人も、同じ数字を読んでいる。

このつながりは、両方向に働く。

  • 上向きの循環。よく経営されたクラブはスポンサー収入とチケット収入を伸ばし、上限まで人件費を使えるようになり、より良い選手を獲得して引き留め、勝つ回数が増え、より多くの観客とより良いスポンサーを呼び込む。それが次のシーズンの資金になる。
  • 下向きの循環。成績だけに頼るクラブは、負け越したシーズンに観客とスポンサーが離れ、上限まで使えなくなり、主力選手が去り、次のシーズンはさらに苦しくなる。継続審査のルールでは、3年連続で基準を下回ればライセンスを失う。

サラリーキャップは、選手のクラブ選びも変える。どのクラブの提示額も同じ上限の下に抑えられると、お金だけがクラブを選ぶ理由ではなくなる。キャップの対象は選手であって、クラブのそれ以外の部分ではない。コーチ、練習施設、メディカルサポート、満員のアリーナ、そしてクラブを大切にする街。これらはすべてキャップの外にあり、すべて経営がまかなうものだ。優れた選手ほど、よく経営されたクラブを選び、そこにとどまるようになるだろう。

部活という遺産

この変化に多くのクラブが苦労するのには、文化的な理由がある。その出発点は学校だ。

日本の選手の多く、そして今の日本のスポーツクラブを運営する人の多くは、学校の部活で育ってきた。部活には本物の美点がある。規律、努力、忠誠心、チームへの敬意を教えてくれる。だが部活は、観客ではなく選手を中心に組み立てられている。スタンドにいるのは、言われなくても来てくれる保護者や同級生だ。成功は大会の結果で測られる。誰もチケットを売る必要がない。

Bリーグのクラブの多くはその型の中で育ち、高いレベルでプレーしてきた人が率いるクラブも多い。元選手は、クラブがお金では買えないものをもたらす。ロッカールームでの信頼、競技への深い理解、そしてクラブの歴史との本物のつながりだ。問題は人ではない。試合こそが商品であり、ファンは感謝すべき応援者であって、獲得し、迎え入れ、また来てもらうべきお客様ではない、という考え方にある。その考え方の下では、試合日の体験、チケットの価格設定、スポンサーへのサービス、ファンのデータは誰か別の人の仕事であり、たいていは事務所でいちばん若い人の仕事になる。

そのやり方は、スコアボードが昇格と降格を決めていた時代には通用した。新しいルールは、それを評価しない。今や、どれほど良いバスケットボールをしても、アリーナが半分空いていればライセンスを危うくしかねない。これから伸びるのは、コートの上では部活の美点を守り、フロントにはプロフェッショナルな経営、マーケティング、顧客体験のリーダーシップを並べるクラブだ。

リーグ自身の数字が語ること

2025-26シーズンを対象にした10月13日のリーグの決算概要は、この主張の裏付けのように読める。

  • 事業は急速に伸びている。B1・B2の営業収入は841億円で、前年比29.1%増。入場料収入は23.7%増、スポンサー収入は21.3%増だった。B3とリーグを含めた合計は1,013億円となり、初めて1,000億円を突破した。
  • 最大の収入源はスポンサー。B1クラブでは、収入の約46%をスポンサー収入が占め、入場料収入は約23%だった。
  • ファン1人あたりの支出が増えている。入場者1人あたりの入場料収入と物販収入は、リーグ初年度の1,816円から昨シーズンは4,467円へ、約2.5倍になった。
  • 支出はファンの側へ移りつつある。トップチーム人件費は10年間で5.6倍に増えた。だがリーグによれば、直近は費用に占めるその割合がやや抑えられ、代わって試合関連経費が増えている。リーグはその理由を、B.革新の制度設計によって、お客様の満足度向上を目的とした興行演出やホスピタリティへの投資が進んだためだと見ている。
  • 成長は利益と同じではない。B1・B2で赤字だったクラブは13で、前年の15から減った。その中には、リーグ屈指の観客動員を誇るクラブも含まれる。

つまり、私が述べている変化を、リーグ自身も見ている。クラブはすでに、ファンがどう感じるかにより多くのお金を使い始めている。各クラブに問われているのは、それをロスターづくりと同じ規律をもって進めているかどうかだ。

3つの収入、1つのブランド

スポンサー、チケット、そしてクラブが売るそれ以外のすべて(グッズ、ホスピタリティ、飲食、イベント)は、別々の3つの仕事に見える。だが実は一つの仕事だ。どれも、そのクラブが周りの人々にとってどれだけ意味を持つかを測っている。

  • スポンサーは、つながりを買うものだ。企業は、そのクラブが街で意味するものの隣に立つためにお金を払う。自分たちのファンが誰で、なぜ熱心なのかを正確に説明できるクラブは、パートナーシップを売れる。LEDボードしか提供できないクラブが売っているのは広告枠であり、それも値引き価格でだ。
  • チケットは、守られた約束だ。第2回で論じたように、無料で配った席はブランドの「口座」からの引き出しである。試されるのは今週の観客数ではない。定価で売れた席がどれだけあるか、シーズンチケットの更新率はどうか、初来場者のうち何人がまた来たかだ。
  • それ以外のすべては、試合を囲む一日だ。第3回では、試合日はアリーナの扉のはるか外まで広がると論じた。飲食、グッズ、ホスピタリティ、そしてアリーナ周辺の街は、試合時間の40分だけでなく、ファンがクラブと過ごすすべての時間から収入を生む。

この3つを結びつけるのが、ファンエンゲージメントである。ファンが誰なのか、何がきっかけで来たのか、何があればまた来るのかを知ることは、もはや付け足しではない。ロスターの資金となる売上を、クラブが伸ばす方法そのものだ。

すべてのクラブの役員会に、5つの問い

  • 今後3シーズン、上限の8億円を、一度きりの補助金やオーナーの好意ではなく、継続的な収入でまかなえるか。
  • スポンサー収入のうち、上位5社が占める割合はどれくらいか。そのうち何社が、今年より高い金額で契約を更新したか。
  • チケットのうち、定価で売れたのはどれくらいか。シーズンチケットの更新率はどうか。
  • 昨シーズン初めて来場したファンのうち、何人がまた来たか。
  • 経営陣の中で、ファンの体験を最初から最後まで責任をもって担っているのは誰か。その人は、GMやヘッドコーチと同じ重みで経営の席についているか。

結論

連載の第1回は、そして第3回もそれを繰り返して、一つの言葉で締めくくった。試合日に誰が勝つかはスコアボードが決める。10年後に誰がまだプレーしているかはブランドが決める。今日のライセンス判定は、そこに3つ目の言葉を加える。サラリーキャップの下では、誰が勝てるだけのお金を持てるかを経営が決める。

Bプレミアのすべてのクラブに、同じ8億円の上限が与えられた。それを支えるだけのブランド、ファン体験、スポンサーを築いたクラブは、毎年その全額を、見つけられる最高の選手に使うだろう。そうでないクラブは、選手がどれほど懸命に努力しても、その線の下から眺めることになる。

出典

「視点」は署名入りの論考です。見解は筆者個人のものです。