分析 — floortok ジャーナル
ジャーナル
分析
編集部による署名入りの分析。数字・開示・出店が、日本のラグジュアリーと小売の売り場にとって何を意味するか。
42本
2026年10月
2026年9月
百貨店の宝飾・貴金属売上は2割増 その大半は金価格の上昇で説明がつく
日本百貨店協会によると、全国百貨店の美術・宝飾・貴金属の売上高は2026年に入って毎月16〜22%増と、館内で最も伸びている売り場だ。ただし円建てで3割超上昇した金価格と、購買客数が伸びないまま膨らんだ免税の客単価に照らせば、その伸びの大半は買い手の増加ではなく価格の上昇である。
大阪のシティホテル稼働率、今年は一度も70%に届かず 万博の反動だけでは説明がつかない
観光庁の宿泊旅行統計によると、6月の大阪府シティホテルの客室稼働率は62.4%と前年同月の81.5%から大きく落ち込み、2026年は一度も70%に届いていない。万博の国内客が去り、関西の中国人宿泊客が半減した一方で、地域の百貨店売上はなお伸びており、これは小売より先に宿泊の問題として現れている。
8月、中国の穴埋めが尽きた 中国以外の市場の伸びはひと月で半減
JNTOの8月の訪日外客数から中国を除くと、その他の市場の合計は11.3%増で、7月の22.4%増から半減した。全体を横ばいから9.6%減に転じさせたのは、中国の新たな落ち込みではなく、台湾と香港を中心としたこの減速である。
髙島屋、AIで図案師不足を補い新柄「江戸小紋」を共創
来月発売される新柄「江戸小紋」2柄は、単なる伝統工芸の販促にとどまらない。AIが百貨店の着物サプライチェーンの人材不足を補えるかを試す実験でもある。
7月の百貨店売上高は身の回り品がけん引、中部は5カ月連続の減少
経済産業省の7月確報で百貨店売上高は前年同月比4.3%増となったが、伸びたのは身の回り品(+9.4%)と衣料品(+5.6%)という訪日客が買う商品区分で、デパ地下は横ばい。回復は関東が担い、中部には届いていない。
8月の訪日外客数は前年比9.6%減、中国の落ち込みが深まる一方14市場は過去最高
8月の訪日中国人客は中国政府の渡航自粛要請を受けて前年から6割近く落ち込んだ一方、ソウルからローマまで複数の市場が過去最高を記録し、日本の高級品フロアを支える需要の重心が変わりつつあることを示した。
「推し」保有率33.6%に縮小、残った層の支出はゲーム2.6倍・アニメ2倍に インテージ調査
インテージの全国調査によると、「推し」を持つ人の割合は33.6%まで縮小した一方、残った層のゲーム関連支出は前年の2.6倍、アニメ関連支出は2.0倍に拡大した。百貨店やキャラクターグッズ売場にとっては、広く浅くではなく、少数の推しに絞って深く投資する戦略が問われる結果だ。
日本の空港店舗売上に明暗、分かれ目は免税店の中国依存
空港各社の自社決算を読むと、店舗売上の伸びは福岡・那覇・関西・新千歳で最も大きく、成田とセントレアでは伸びがほぼ止まっている。一方、中国発の団体旅行に支えられてきた免税店(羽田第3ターミナルとセントレア)の売上だけは、どちらの決算でも減少している。
日本の空港は、いまや国内有数の商業フロアになりつつある
日本の主要空港が計上する物販・飲食売上を合算すると、大手百貨店グループに匹敵する規模になる。ただし集計方法は空港ごとに異なり、業績の明暗もくっきりと分かれ始めている。
W機能性表示食品「のど飴」で自己ケア需要を取り込むマツキヨコカラの戦略
ドラッグストア最大手の自社ブランドが、免疫ケアとのどケアを一粒に凝縮したキャンディーを投入。サプリメントに限らない「食べる健康管理」への消費者シフトが鮮明になりつつある。
カインズ、都市型小型リフォーム店で「相談インフラ」を構築する狙い
千葉県内3店舗目となる市川出店を機に、カインズは2027年度中に都市小型店50店舗体制を目指す方針を明らかにした。
cynaps、総制御容量1MW突破——ホテル・商業施設における換気最適化が本格的な普及段階へ
IoT企業cynapsの換気制御サービス「BA CLOUD」が全国約30拠点に拡大。ホテル4,000室超、商業施設17万平方メートル超をカバーし、総制御容量が1MWを突破した。
ドラッグストア業界が見逃せない二つの規制動向
日本チェーンドラッグストア協会が経済産業省からの二件の通達を会員企業に転達した。サプライチェーン全体に及ぶ支払適正化と、女性活躍推進に関する上場企業選定制度という、いずれも実務上の対応期限を伴う内容だ。
ドラッグストア業界団体、ロキソプロフェンの販売規制緩和へ動く
JACDSが会員企業を動員し、ロキソプロフェンの販売区分見直しに関するパブリックコメントへの組織的な意見提出を呼びかけている。
高島屋、8月度売上高3.2%増 — 訪日客は数減っても単価が急増
高島屋の8月度売上高は前年同月比3.2%増となったが、本当の見どころは免税売上の中身にある。免税取引件数は6.8%減った一方、客単価は14.4%上昇した。
イオン、2040年食品リサイクル率100%を目標に設定―岩手をモデルケースに
国内最大手の小売グループが食品廃棄物ゼロに向けた具体的な目標を掲げ、岩手県での政府認定モデル事業を検証の起点に据えた。
2026年8月
万博の反動は関西の鉄道各社に及んだ。それでも売場の成績は分かれた
近鉄グループホールディングスと南海電気鉄道は、2026年4〜6月期の決算短信でそろって「大阪・関西万博の反動減」を挙げ、JR西日本も同じ方向の数字を並べた。ただし当四半期で最も伸びた流通事業は関西にあり、最も落ち込んだ二つは東京にある。分かれ目は立地ではなく、各社が売場に何をしてきたかにある。
マツキヨコカラ「nake」がスティックシャドウを投入——PBコスメ戦略の深化を示す一手
ドラッグストア最大手が共同開発するビューティーPB「nake」が目元カテゴリーへ拡張——「スキンケア以上、メイク未満」という独自軸がどこまで通用するかを問う製品だ。
441店舗の飲食チェーンが契約管理をデジタル化——新リース会計基準が後押し
串カツ田中・PİSOLAを展開するユニシアホールディングスが、新リース会計基準の強制適用を前にSansanの契約管理基盤を採用。多店舗F&Bオペレーターの契約管理に変化の兆しが見える。
ドン・キホーテのPPIH、過去最高益も店舗外の要因が押し上げ
ドン・キホーテを展開するパン・パシフィック・インターナショナルは2026年6月期に過去最高の売上高・利益を記録したが、決算資料を見ると増益の多くは為替差益や減損損失の縮小など本業以外の要因によるもので、同社自身も来期は同じペースの増益を見込んでいない。
ロエベ、岡田将生をブランドアンバサダーに 最初の起用から3年
クリエイティブ刷新のさなかの起用。2023年から続く関係の延長線上にあり、話題性だけを買う人選ではない。
トランジット、南青山の「ラス」を東京駅新棟TOFROM YAESUへ
「ラス」はトランジットが手がける自社ブランドであり、海外からの上陸店ではない。東京駅新棟への出店では、日中の人流を狙う独立系タルトブランドも同時に立ち上げる。
パレスホテル東京、モナコの「ル・ルイ・キャーンズ」がエステールで2日間共演
同じアラン・デュカス系列の2人のシェフが11月の2夜限り、8皿のコースを共に手がける。モナコの旗艦店と東京拠点が直接共演する珍しい機会だ。
ユナイテッドアローズ、コーエン譲渡で採算改善——第1四半期は増収を上回る増益
売上高は4.2%増にとどまったが、営業利益は27.5%増、純利益は44.8%増。増益の主因は売上の急伸ではなく、子会社譲渡による採算改善にある。持株会社化と記念配当を控えるなか、決算が示す構図だ。
2026年7月
ラグジュアリーを二分する日本市場
世界の主要ラグジュアリー各社の決算が出そろうなか、その日本売上高はきれいに二分された。ジュエリー・時計は急伸し、観光客依存度の高いブランドは軟調——日本の百貨店を再編しつつある、中国インバウンドをめぐる同じ分断である。
訪日の潮目で分かれた日本の百貨店決算
日本の主要百貨店グループの決算が数週間のうちに出そろい、明暗が分かれた。その分岐点はインバウンド需要——そのタイミングと、消費を担う顔ぶれの変化にある。
台湾が中国を抜き、訪日消費額でトップに立つ
観光庁の最新の四半期調査によると、訪日外国人の消費のうち買物代が占める割合は全体の4分の1に達した。一方で「誰が使っているか」の顔ぶれは様変わりし、消費額が前年から半減した中国に代わって台湾が首位に立った。
円安の日本が「世界最安のラグジュアリー市場」になった理由
2024年に1ドル=146円台だった円は、いまや163円を超える水準まで下落した。この価格優位性を最も雄弁に語るのは百貨店のレジだが、その一方で店を訪れる訪日客の数自体は、足もと増加が止まっている。
三菱地所とセントラルパタナ、バンコクで2件目の共同開発 タイ最大の投資に
バンコク・サイアムスクエア地区に建つ地上42階建ての商業・オフィス・ホテル複合タワーに、アコー傘下「25ホテルズ」がタイに初進出する。三菱地所にとってはタイでの過去最大の投資案件となる。